専門用語を使う理由
看護学生として病棟に入った頃を思い出すと、全く聞きなれない専門用語や略語をよく耳にしたと思います。専門用語や略語を使うのではなく、誰にでも伝わるようなわかりやすい言葉の方が、勉強をするにもコミュニケーションを取るにも良いと思う人もいるかもしれません。しかし、ナースが専門用語や略語を使うのにはしっかりとした理由があります。
患者さんへの配慮
ナースは患者さんに看護を提供するために、病状や家庭事情といった個人情報を扱います。そのため、特定の患者さんの個人情報を守らなければならない場面も当然あります。他の患者さんに知られてはいけない情報を守るために、略語や専門用語によって隠しながらナース間でやりとりをします。
また、なるべく伝えない方が良い情報を隠すこともできます。例えば患者さんが亡くなることを「ステる」と表現しますが、これはネガティブな情報を表に出さないという配慮があります。末期の患者さんにとって「死ぬ」「亡くなる」を耳に入れるのは配慮に欠けますので、このステるという表現でやりとりをしています。
簡潔に表現するため
病名や術式の正式名称は長いことが多いので、カンファレンスなどで話し合いをする際にはあまり好ましくありません。そのため慢性閉塞性肺疾患を「COPD」、冠動脈バイパス術を「CABG」などと、簡潔に表現をして時間短縮を図り煩わしさを軽減します。同様の理由で記録を残す際にも使用されることがあります。しかし、病院によってはカルテなどの記録に使用できる専門用語が決められている場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
より専門性を高めるため
看護学生や新人の頃には何を話しているか全くわからなかったことも、専門用語や略語を使用する環境にいるうちに徐々に理解できるようになってきたはずです。例えば内分泌科に配属されたとして、糖尿病の薬についてカンファレンスをする際に「SU」と「BG」という単語が出てきたとします。言葉の意味が理解できなければもちろん何の薬を使用しているのかもわかりませんし、どのような効果が期待されているのかもわかりません。しかし、SUは「スルホニル尿素薬」でBGは「ビグアナイド薬」だとわかると、より深く疾患や治療方法について理解できます。つまり専門用語や略語の意味を知ることで、よりレベルの高い会話ができるようになるのです。また、スキルアップを目指して専門書などで勉強をする際も、このような専門用語や略語の中に身を置いていると頭に入ってきやすくなります。
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